女将だより

池波正太郎 「天城峠」

天城峠 岩波正太郎

劇団の裏方で働く主人公と、若い俳優が天城を越える物語。
池波正太郎は、鬼平犯科帳や真田太平記など時代小説の
イメージが強いですが、この「天城峠」は時代小説に
入っていく前の作品の一つ。

バスの車窓から春の湯ヶ島の景色が描かれています。

~三島から駿豆鉄道に乗り換え修善寺から下田行きのバスに乗り、
沿道の季節はずれで客もない温泉場をいくつも抜け、森閑として、
のびやかな伊豆の村々を揺られて湯ヶ島を越すと━━おだやかな
起伏を見せた山肌を背景に、梅が咲き、春の休暇中で子供の笑い声に
満ちたている街道の田園風景は何時の間にか車窓にせまる山肌と森林に変わり、
狩野川に沿った道は、ゆるやかに曲がりくねってのぼりはじめた。~

池波正太郎 「天城峠」より

 

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2016-04-02 | Posted in 女将だよりComments Closed